第28回日本外来小児科学会 年次集会 ワークショップ

日時:2018年8月25日(土)14:15-16:45

 

会場:東京国際フォーラム

 

テーマ:伝えるって、むずかしい?!相手の心に届く伝え方、一緒に考えましょう

 

ワークショップリーダー:野村さちい(当会理事、竜美が丘小児科 小児救急看護認定看護師)

サブリーダー :阿真京子(当会代表)

 

ファシリーテーター:有村聡子さん(小児救急看護認定看護師)、渡邉奈緒さん(小児救急看護認定看護師)、藤原健次(当会スタッフ)、野口直子(当会理事)

 

 

 

医療者と保護者は「子どもが健やかに育っていってほしい」という共通の目標を持つ仲間でありながら、お互いに、もっとこうしてくれていたら・・・、こういうことを知っていたら・・・という思いを抱く事も少なくありません。インターネットのなどの充実により情報はたやすく手に入れられる時代だからこそ、人と人のコミュニケーションの機会は大切な時間。だからこそ相手の心に届く「伝え方」について考える機会としてこのワークショップは企画されました。

 

募集開始からすぐに30名の定員が満席となり、全国各地の看護師、医師、保育士、事務職の方が集まりました。最初にワークショップリーダー野村(以下野村)から趣旨説明があった後、5グループに分かれて、実践のロールプレイに入りました。

 

2人1組となり、看護師の方と親御さん、受付の方と親御さんといった役割分担をし、あらかじめ用意された状況や背景に基づいて、それぞれの立場になりきって対話をしました。

 

その後、対話をしてみて気づいたこと、こうしたらもっとよくなると思ったことをグループ内でシェア。最初は役になりきることにドキドキされる方もいらっしゃいましたが、3つの事例を繰り返すことで、より活発な意見交換の時間となっていきました。

 

そして、3事例のロールプレイ後の意見交換の結果を各グループのファシリテーターが全体に報告。

 

様々な意見が出ましたが、大きく共通していたのは、患者の親役としては、まず不安に寄り添ってもらえると安心する、そこで信頼関係ができて次も相談してみようかなと思え、助言を受け入れやすくなるという意見でした。

 

伝える側の看護師や受付の方役からは、ちゃんと伝わったかという不安、もっとこう言えばよかったという反省、ただお話を聞けばよかったのか他の医療職や機関につなぐべきだったのかという迷い、より適切な情報を持ち合わせる必要性などが出てきました。

 

引き続いて、野村より全体のまとめとして、各事例における大切なことを、ファシリーテーターの失敗例も含めた経験に基づく解説がありました。

 

病棟での勤務とは異なり、クリニックなどの外来診療では、患者さんとの出会いは一期一会。次はいつになるかわからないからこそ、自分の対応が適切に届いたか不安になり、だからこそどうしたら親子にとってよりよいコミニュニケーションが取れるのか日々考えてきたとのこと。

 

たとえ病気の治療や予防に関しての視点、考えが異なっていたとしても、目の前のお子さんが元気に育ってほしい気持ちは一緒であることを共有確認し、まずは信頼関係を築くことが大事であると語りました。

 

医療現場では、忙しさや急変などのリスク回避のため、つい健康状態の評価や正しい情報提供が先走りがちになることも指摘し、まずは心を開いて親御さんの不安を受け入れ、共感しようとも。

 

また、親御さんの言葉の裏にこそ真意があるケースもあり、遠慮せず「何が心配?」と率直に尋ねてみることもとても大切とのことでした。ファシリーテーターの小児救急看護認定看護師の方が、お母さんの表面的な発言の裏に隠されていたヘルプ信号についての経験を語り、涙が出そうになるような場面もありました。

 

その後、参加者の方からお一人ずつ、ワークショップを受けて明日から実践してみたいことをリレーメッセージとしてコメントしていただきました。

 

忙しくても、一旦相手の気持ちを受け止めることが、どれほど大切で、次の行動にもつながるかを感じた参加者のみなさん。それぞれの立場で、寄り添い、話しかけやすい雰囲気を作りたいと語ってくださいました。

 

最後にサブリーダー阿真からは、親の立場から感じることをみなさんにお伝えしました。

 

子ども、特に小さい子の親ほど受診前日は眠れておらず、寝不足と不安で、心身ともにクタクタの状態で訪れており、そんな時の医療機関の方の言葉は、親には重く響きがちであること。

 

言葉に出さなくても、医療機関のスタッフの方のネガティブな感情は伝わってしまうこと。

 

たくさん心配事を抱えていても、しっかり向き合って聴いてもらうことで、意外と短い時間でスッキリすることも多いこと。

 

いつも聴いてもらいたいわけではなく、早く帰らないといけない状況もあること。

 

など、受診時の親の状況を察していただくためのヒントとなるような事例をいくつか交えた話をさせていただきました。

 

このワークショップに参加して見て、患者の親の立場としては、伝え方を学ぶために、これだけ親に寄り添う気持ち、仕事への責務を持ってくださるスタッフの方が集ってくださっていることに、まず感激しました。そして自分自身も、育児や仕事など日々のコミュニケーションで、適切な回答や対応をしなくてはと、次の展開に気が行きがちですが、まずは目の前の人の話に集中して受け止めることの大切さを感じます。これだけ、医療スタッフの方が考えてくださっているからこそ、患者として、親として余裕のない状況でも、よりよい受診につなげるためには、自分自身も伝え方を工夫してみようと改めて思いました。